鎌倉彫とは

鎌倉彫の歴史

『鎌倉彫』とは、鎌倉時代から現在まで引き継がれてきた漆塗りの工芸品で、その歴史はなんと700年になります。
12世紀より、源頼朝が鎌倉に幕府を開き、日本の中心となった鎌倉に集まってきた仏像彫刻師たちにより、寺院で使われる仏具や、香を 入れる器を漆塗りの工芸品で作ったことが起源とされており、『禅』の文化の影響を受け、彫りの繊細さと、沈んだ色調の美しさが特徴です。
明治時代になり、リゾート地となった鎌倉に集まった上流階級の人々が、工芸品としての『鎌倉彫』に関心を寄せ、次第に、茶道具をはじめ生活用品としての『鎌倉彫』が作られていくようになりました。美術骨董品的な価値を持つものもあり、高価な彫刻漆器として全国でも名高い工芸品とされています。


製作工程

  1. 半年以上かけて乾燥させた桂の木を、様々なかたちに加工します。
  2. 加工した素地に、様々な彫刻を施します。図案は草花などが主ですが、その他にも幾何学模様など多種にわたります。何十種類もの道具を使い、繊細な彫刻を仕上げます。
  3. 天然の漆を、下地、中塗り、上塗りの順に塗装し、仕上げにマコモというイネ科の植物の粉を蒔き、最後に艶出しの漆を塗装して、完成します。漆塗りの工程だけでも10~15工程になります。

以上、全てが本気の職人によるハンドメイドなので、茶褐色の漆独特の質感は、長い年月を経てもますますそのツヤを帯びてきます。